スポーツ 義肢装具

足関節装具はスポーツパフォーマンスに影響する?②

前回の記事で足関節装具がジャンプパフォーマンスにネガティブな影響を与え,底背屈角度が低下することが原因でないかということを紹介しました.

今回の文献では,もう少しなぜ足関節装具はジャンプパフォーマンスに影響するのか,といった点に着目して,最新の知見を紹介させていただきます.

 

 

【本日の話題】足関節装具なぜジャンプパフォーマンスに影響するのか?

方法

・42人のアクティブな健常成人男女を対象

・足関節装具なし,編み上げ式のソフトタイプの足関節装具(S条件),プラスチック によって内側と外側から足関節を保護するように囲んだセミリジッドタイプの足関節装具(SR条件)の3条件

・垂直跳び中のジャンプ高,床反力,筋活動を計測

・筋活動を計測したのは,長腓骨筋,腓腹筋外側頭,大腿二頭筋,大腿直筋,中殿筋の5筋

結果

・S条件,SR条件ともにジャンプ高が低下

・SR条件は.装具なし条件よりも,腓腹筋活動が低下

・SR条件は,S条件よりも,大腿四頭筋活動が低下

・床反力は条件間で差はなし

 

足関節装具はジャンプ高を低下させるという点で前回と記事と一致していますね.

今回の記事が違うところは筋活動を計測しているところでした.

 

前回の記事では底背屈の可動域が制限されることがジャンプ高を低下させることと関連しているのではないかという話でした.

これを踏まえて考えてます.今回,背屈に作用する筋活動は計測していません.

一方で底屈に作用する腓腹筋外側頭の筋活動は計測していますね.

 

腓腹筋活動は,SR条件で装具なし条件よりも低下しています.

S条件では装具なし条件と比べて低下していません.

足関節装具は,ROMを制限することで内反捻挫を予防していますが,装具の種類によって,制限の方法は違います.

SR条件で使用されている装具は,セミリジッド足関節装具と呼ばれるもので,プラスチックで左右からサンドイッチすることで制限しているものです.

一方で,S条件で使用されている装具は,編み上げ式で全体を包んでいます.

そのため,セミリジッド式は編み上げ式よりも底背屈を制限しないと考えられています.

でも,今回はSR条件でS条件よりも腓腹筋活動が低下していました.

この事実を素直に考えると,底背屈可動域の制限が原因で腓腹筋活動が低下したと考えることはできず,他に理由があると考えられます.

この論文の著者は,装具のデザインや足底部分のデザインの違いが関係している可能性を述べています.

足底からの刺激は,腓腹筋の拮抗筋である前脛骨筋の活動が高かめることを引き合いにだし(初期接地時に前脛骨筋の活動が重要ですよね),腓腹筋の活動が抑制されたのではないかと考察しています.

しかし,今回の研究では,関節角度を確認していませんので,そもそもS条件で底背屈角度がSJ条件よりも制限されていたかどうかは判断できませんし,腑に落ちきらないですよね.

どうやら足関節装具がジャンプパフォーマンスを低下させるようですね.

しかし,なぜ低下するのかという部分は,関節角度や筋活動を同時に観察して多方面から考えないと結論は出せないようです.

最新の研究ですら,関節角度のみ,もしくは筋活動のみを計測した文献だけで,これから発展していく分野だろ思われます.

 

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