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野球のピッチングパフォーマンスに関連する要因とは?

前回は“肩肘に負担がかかりやすい投球動作”についての文献を紹介しました.
BAL

前回の記事はこちら!

肩肘に負担がかかりやすい投球動作とは・・・

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今回は“野球のピッチングパフォーマンスに関連する要因は何か?”について,2020年のスコーピングレビューから紹介したいと思います!

本日の話題:野球のピッチングパフォーマンスに関連する要因について

投球動作の位相について

投球動作は一般的に6つのphase(上図)に分けられます.

ピッチングパフォーマンスの評価

ピッチングパフォーマンスの評価として,投手自身ではコントロールできない部門(勝利や敗戦,勝率など)ではなく,投手自身でコントロールできる部門(奪三振,与四球など)が用いられます.

具体的には・・・

Fielding Independent Pitching(FIP) がよく用いられています.

これはピッチングパフォーマンスを評価するために,被本塁打,四球(−敬遠),死球,奪三振,投球イニング数という投手特有の統計を用いている.

計算式としては,

  • FIP={13×被本塁打+3×(与四球+与死球-敬遠)-2×奪三振}÷投球回+リーグごとの補正値
補正値:リーグ全体の防御率-{13×被本塁打+3×(与四球+与死球-敬遠)-2×奪三振}÷投球回

 

このFIPが低ければ低いほど,投手のパフォーマンスが良いということになります.

http://m.mlb.com/glossary/advanced-stats/fielding-independent-pitching

他にも様々な方法が用いられており,今回のレビューの目的は,野球のピッチングパフォーマンスに関連するパフォーマンス要因をリストアップして分類し,野球のピッチングパフォーマンスに関連する個々の要因を特定することでした.

結果

4817の研究から34の研究が基準を満たした.

研究の大部分は高校生(36%)に焦点を当てたものであり,それよりも若い選手(8%)は最も研究されていない集団であった.

34の論文のうち,球速が最も研究されたパフォーマンス指標でした(30の研究).

 

運動学

肩水平外転(SHA),上部体幹屈曲,上部体幹回旋角度,上部体幹側屈,体幹前傾,最大肩外旋(MER),ステップ脚の膝屈曲は速い球速に関連する運動学的特徴でした.

Late cocking phaseでの体幹回旋と肩水平外転は,MERの生成に関与します.

MERの増加は球速の増加と関連していることが明らかになっています.

ステップ脚の膝屈曲と体幹前傾にも関係がある可能性があります.

フットプラント時に膝の屈曲が減少すると,ボールリリースのときに体幹が前傾している間に脚が最大まで伸展することができます.

さらに体幹側屈を大きくすることで,投手はボールリリース時に投球側の腕をより伸ばすことができます.

運動力学

6週間のウェイトボールを用いた投球プログラムの効果を調査した介入研究では,MERが増加し,球速も増加したと報告されています.

しかしながら,怪我が24%増加しており,関節にかかる力が大きくなったことが原因であると考えられます.

球速を高めることは肩肘の関節に過負荷がかかるリスクがあり,それが怪我のリスクを高める可能性があります.

別の研究でもMERが増加すると肘の外反トルクが増加することがわかっています.

したがって.運動力学のパラメータは球速に関連する有用な因子であるが,肩や肘の近位の力のパラメータも,使いすぎによる怪我のリスク因子として示唆されています.

フィジカルテスト

5つの異なるフィジカルテスト(両側へのジャンプ,メディシンボールスクープ,立ち幅跳び,10mスプリント,握力)でのパフォーマンス向上は,球速の増加と関連していました.

10mスプリントはすべての年齢層で指標となっていました.

両側へのジャンプは,投球動作のストライドを再現しており,投球動作にはパワーが重要な要素であることを示しています.

また成人期になると,身体能力よりも技術的要素の方が重要になり,パフォーマンスを左右する要因となることが多いです.

その他

床反力は最も関連性が高く有用なパラメータの一つでした.

足から股関節への床反力は,運動連鎖の観点から投球動作中の骨盤から手へのエネルギー伝達に影響を与え,球速の増加を促進する可能性があります.

またMLBの統計を見ると,より速い球速はスピン率とオンフィールドの結果に関連しており,打者よりも投手に有利になる傾向が観察できます.

効果的なスピン率は,打者の投球に対する認知を変えることができ,より効果的なものになります.

また指の位置とボールへの圧は回転率と回転軸に影響を与えます.

この2つのパラメータは投手のパフォーマンスに影響を与えると考えられていますが,さらなる研究が必要です.

 

文献タイトル

Mercier, Marie-Andrée, et al. "Individual factors associated with baseball pitching performance: scoping review." BMJ open sport & exercise medicine 6.1 (2020).

https://bmjopensem.bmj.com/content/6/1/e000704.abstract

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