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裸足(ベアフット)ランニングの話

一時期話題になったベアフットランニング(裸足で走る)って実際どうなの?
即時的なランニング動作の変化に関しては良い報告が多いです!長期的な視点でみると...面白い報告がありますね!
MUDA

【本日の話題】
ベアフットランニングに慣れると走り方が変わる?

【予備知識】
そもそもベアフットランニング(裸足で走る)って何のこと?

ベアフットランニングってなに?
  • 原則は裸足で走ることを指し,”下肢への負担が軽減される走り方が身につく””人間本来の走り方に近づく”というような情報が発信され話題になる.
  • 10年以上前から研究報告はあり、古くて新しい話.ミニマリスト(ミニマル)シューズを履いてのランニングをベアフットランニングと同等の扱いで話をしているものもある.大まかな理解をするうえでは同義と捉えてよいが、厳密には異なることを理解しておく.

 

ベアフットランニングの即時効果   (vs 通常のランニングシューズ)
  • 初期接地の位置がより前足部側となる
  • 初期接地時の足関節背屈角度が減少
  • 初期接地時の膝関節屈曲角度が増加
  • 歩幅が減少
  • ケイデンスが増加
  • 鉛直方向の最大床反力が減少 など

【はじめに】

  • ベアフットランニングがパフォーマンスの向上やけがの予防に有益かについては現時点までに明確な結論は出ておらず現在も議論が進んでいる
  • ベアフットランニングへの理解を深めるには,ベアフットランニングを同じ人が長期的に取り組んだ時に(慣れた後)走動作がどのように変化しているのかを知ることが重要
  • 特定の走り方に慣れた後でも,大会などではランニングシューズを履く人もいるからベアフットランニングやランニングシューズでの走動作も知っておく必要がある

【対象/方法】

  • 18-35歳までの健常な人でこれまで裸足で走ったことがなく,裸足に近い状況で行う競技(体操、バレエ、格闘技、ミニマルシューズを使用したランニング)もしたことがない60名 (女性51.7%,年齢25.4±3.3歳,身長176.3±7.9cm,体重70.4±10.5 kg)
  • 裸足での走行に慣れる群ランニングシューズでの走行に慣れる群,介入はなく普段の生活を続けてもらう(コントロール)群で実施
  • 介入期間:8週間、週に1回で計7回介入を実施
    * 介入は裸足での走行に慣れる群は裸足で,ランニングシューズでの走行に慣れる群はシューズを履いて介入を実施

介入内容


①トレッドミル上を最大酸素摂取量の70%の速度で15分間走る
(今回の対象の速度の平均 10.7±0.9 km/h)
②バランストレーニング(不安定な台上での姿勢保持)
:30秒×15回
→ ②については以前の同研究グループの報告より違いがなかったようです.今回は①についてのみ.

<測定と評価について>

    • 3次元動作解析装置と床反力データから得られた,ランニング動作時の各関節角度やモーメント,床反力,歩幅,ケイデンス,Foot strike index(値が大きいほど前足部で設置している) など
    • 3群とも介入前と介入後で測定を実施
    • 測定はすべての群で裸足での走行とランニングシューズでの走行の2種類を実施

ちなみに,実験で使われていたランニングシューズはAsics Cumulus 17というアシックス社製のランニングシューズです!!(日本のシューズは信頼されてますね)

【結果】

  • 裸足での走行に慣れる群では, "裸足での走行" をした時に介入前後で比べると,より前足部で初期接地をしており,ランニングシューズでの走行に慣れる群と比べても有意に前足部での初期接地をしていた
  • Vertical average loading rates(接地直後から50msの間にどれだけの力が生じしているか)については,裸足での走行に慣れる群では介入後に "裸足での走行" と "ランニングシューズでの走行" のどちらにおいても,発生する力がより大きくなる傾向を示していた
  • 一方で,ランニングシューズでの走行に慣れる群では "裸足での走行" と "ランニングシューズでの走行" のどちらでも接地後に発生する力がより小さくなる傾向を示していた
  • 鉛直床反力は裸足での走行に慣れる群では介入後に "ランニングシューズでの走行" を実施した場合に増大していた
本日のおさらい
  1. 裸足で走ることに慣れると,裸足で走る時には初期接地の足部位置がより前足部側へ移動する
  2. 裸足で走ることに慣れると,裸足で走ってもランニングシューズを履いて走っても接地~50msの間に地面から受ける力が大きくなる(裸足で走ることに慣れて,足部を固めて使うようになった可能性がある
  3. 裸足で走ることに慣れると,裸足で走る時の鉛直方向の最大床反力は変わらないが,ランニングシューズを履いて走った時の鉛直方向の最大床反力が増大する

…まさかの結果
これまで "ベアフットランニング" では即時的に鉛直床反力が減少するから外傷の予防にもつながると期待されていたが,あくまで"ベアフットランニング" という慣れない状況でランニングした時に観察された現象の可能性が高いということか!

その通りですね!各関節へのストレスの変化や筋活動の変化などまだまだ調査が必要ですが,これは "ベアフットランニング" への理解を深めるうえで重要な研究かと思います.ランニング初心者の方は特に気を付けた方がよさそうですね!私たちも日々新しい知識を更新していき,正しく使用・発信していきましょう!
BAL

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文献タイトル

Hollander, Karsten, et al. "Adaptation of running biomechanics to repeated barefoot running: a randomized controlled study." The American journal of sports medicine 47.8 (2019): 1975-1983

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0363546519849920

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